企業財務入門(25) 『経営者から見た銀行の役割』

今回は、経営者の側から見た銀行の役割について考えてみます。

 

IMG_1637「銀行家というのは、太陽が照っている時に自分の傘を差しだし、雨が降り始めるやいなや傘を返せというようなやつだ」と言う有名な言葉があります。実は、トムソーヤの冒険を書いたマーク・トウェインの言葉だそうです。ユニークな言い回しで、なるほどそうだと納得させられる名言です。しかしよくよく考えてみると、中小企業経営者の方にとっては、銀行の役割を取り違えた少し危険な考え方です。そもそも銀行が貸しているは雨傘ではなく日傘です。日傘は晴れた日には大いに役立ちますが、雨の日に使うものではありません。すぐに使い物にならなくなってしまいます。

 銀行は行政機関でもなければ親族でもありませんので、雨でずぶ濡れの時にダメになるとわかっていて、(しかも他人である預金者から借りた日傘を)、差し出してくれることを期待してはいけません。いろいろな考え方があるかとは思いますが、中小企業経営者であれば「銀行の姿勢は事実そうである」ことを理解しておく必要があります。 

債権者、債務者と言う考え方でいけば、もちろん銀行は企業より強い立場にあります。しかし、銀行は企業にお金を貸して利息を稼がなければ生きてはいけません。そういう意味では銀行と企業は対等です。価格を前に売り手と化しては平等な地位にいるということは間違いありません。失われた20年間の不況下でも、事業意欲が旺盛で次々に大型の資金需要を生み出すソフトバンクの孫社長などは、銀行から見て最高のパートナーでしょう。

自信を持って銀行と対等に付き合うためには、まず、相手のことを良く知ることが大切です。どういう価値観、ールで行動しているのかを知れば、付き合い方がわかってきます。また、相手と同じ目線で会話をしてあげることも重要ですので、最低限の財務・会計の知識を身に着けておく必要があります。これは、銀行との会話はすべて財務・会計の言語を使うことによります。

経営者は、銀行と対等な関係を築き、現在の事業をさらに拡大するためのパートナーとして活用していきたいものです。

 

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