マイナンバー対策を考える(7) 個人情報の特定

社会保険と税の一体改革のために付されるマイナンバーに関連していえば、税の分野では少なくとも一つ、社会保険分野では少なくとも2つの番号があります。

それぞれ

KSK整理番号:申告書などで現れる8ケタの番号です。税務署毎に9999万9999件の登録ができるはず。
年金基礎番号:年金手帳に書いてあります
健康保険記号番号:保険証に書いてあります。

です。e-Taxを使う場合はもう一つ16ケタの識別番号が加わります。

税務署はKSK番号とe-Tax識別番号をぜいぜい言いながら紐付けする、らしいのです。

これと本人情報がバラバラに管理されているようです。

2IMG_1739015年6月23日のの日本経済新聞夕刊に大阪市生野区の国民健康保険の未納滞納処分において、同姓同名で生年月日が同じ別人の女性の個人年金を差し押さえたという事件があったそうです。実は保険会社に照会をかけた時に住所が違うことはわかっていたようですが、「引越しで住所移転はよくある」ということで差し押さえを強行したとのこと。再発防止は「マニュアルの徹底」らしいです。

実はここで問題なのは、「個人を特定する情報」は何かです。マイナンバーでは氏名・性別・生年月日・住所で個人を特定します。これらのうちどれかが違えば他人と判断するのです。大阪市生野区の国民健康保険の担当者は氏名・性別・生年月日で個人を特定できると判断したようです。多分、氏名・性別・生年月日では個人特定できない。きっとここの部署は個人情報の特定で苦しんだことがないんでしょうね。

話は変わりますが、データベースの教科書ではデータベースの歴史の話が必ず出ます。データベースにおいて重要なものは一意性制約です。一つのデータは一か所に格納されるという単純な話しなのですが、どうやら上記の大阪市生野区の例では区民課と国民年金課の内部では区民の一意性制約は担保されたかもしれませんが、課を跨ぐと無理のようですね。実は一意性制約はデータを一か所に格納せよということを要求することであり、唯一無二のデータを主キーとしてくださいというものです。

そこで、個人データについて考える場合「個人を特定する情報」として用いられるものは何か、ということです。身分証明で免許書を使う場合は免許書番号を主キーとして扱いますが、免許書には氏名・性別・生年月日・住所・顔写真が記載されています。これらの情報が免許書番号と結びついて一意性を担保します。生野区の事例でいえば免許書記載の情報が入手できないとなれば、ここで登場するのがマイナンバーです。ただし、付与されたマイナンバーと本人が一致するかどうやって確認するのか、やはり問題です。結局身分証明書と本人と個人番号カードを照合することになります。

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