売上を考える(1) 売上は会計だけのの問題ではないのです。

IMG_0953お金にまつわる事項で自分の意図通りにならないものの筆頭格が売上の確保です。財やサービスを売るか否かの自由は売手にありますが、買うか買わないかは買手の自由です。このため事業計画において一番難しい項目は販売計画となります。付け加えるならば、顧問税理士といった会計の専門家、経理部門においての関心事項は売上高をどのタイミングで計上するかであって売り上げをどのように構成するかです。会計の教科書には「売上計上基準」の解説はありますが、売上の構成についての解説はありません。予算統制を行っている企業においても企画部門や経理部門が売上の構成について口を出すことは基本ありません。

会計専門家は売上の構成について関心がないからと言ってその他の部門が売上に対して同じような態度をとることはできないのです。例えば、営業ノルマの決め方を売上高一本にしますと赤字になる可能性が高くなります。売上高ではなく利益率を指標とすれば赤字になる可能性は低くなりますし無用な値引き合戦に引きずりこまれることはない反面、売上数量を確保できない可能性が生じます。このようにして考えていけば売上高の確保というのは一筋縄でいかないことは自明の理となります。

これから、売上高を考えていくにあたり会計の枠を超えてとらえていきたいとは思いますが、まずは会計の枠内で考えていきたいと思います。売上高は次の式で構成されます。

売上高=(製品、商品、完成工事高:以下商品と表現)単価×数量

とまあ、単純ではありますが、取り扱いに複数商品があったとしてもこの公式は商品の数だけ成立するという特性があります。単価×数量であるということは、単価を追求するか数量を追求するかあるいは双方追求するかどれかを決めるのが経営者としての最初の決定となります。商行為というのは値段を言葉として参加するプレーですから、プライシングは経営者の最重要な業務のうちの一つです。一般論として単価と数量を同時に追求することは困難とされています。これは一般論ですからもちろん例外もありますが、そのような場合はビジネススクールのケースブックとして扱われます。

さて、単価を追求するということは、高価格商品となります。高価格商品はブランド価値が高い企業が提供する商品になりますので基本的には数量を期待できない、あるいは数量が出ないことを前提とする商品です。希少性があるから高価格であるということになります。このように言いますとiPhoneやgalaxyといったスマートフォンに希少性はあるのかとなりますが、高機能であるがゆえに高価格であり、高価格であるがゆえに誰もが手を出すことができないという性格そのものは否定できません。中国市場におけるiPhoneのシェアは小さいのはそのためです。基本的に高価格を追求することは希少性を引き起こすことを意味しますから、希少性と安売りは相反することになります。

数量を追求する言葉は会計の世界では「資本回転率を上げる」といいます。商売における「資本」とは会計の教科書的に表現するならば、売掛金の回収期間を短くし、在庫を持たないようにして販売機会のロスを防止し、土地建物の有効活用を図ることを意味します。販売機会のロスを防止するということに焦点を絞っていきますと、小売りの例で申し訳ないのですが「棚にじっとしている商品を置かないこと」「棚の隙間を埋めること」を意味します。この二つの追求のためにスーパーやコンビニエンスストアはPOSレジと在庫管理のパッドの活用を図ります。このため、最短で二週間で撤去される商品も存在します。

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