事業承継を考える(2) 事業承継に潜む危機感

国は中小企業の事業承継に関して強い危機感を抱いており、その集大成として中小企業庁が『中小企業の事業承継に関する集中実施機関について(事業承継5か年計画)』のペーパーに示された各種施策を実施します。また平成30年度税制改正において事業承継税制が抜本改正され、平成30年4月から平成39年3月までの時限立法ですが非上場株式等についての贈与税及び相続税の納税猶予・免除が受けられる範囲が拡大されました。このような事業承継を促す施策を講じる背景は、統計資料の読み方にもよりますが我が国経済を支える中小企業のうち約三割が後継者から見れば「承継するに値するかどうかわからない企業に見える」かもしれないため、経営者からすれば適切な相談相手もなくひっそりと消えていくことが見受けられることになります。また、承継未定企業や廃業予定企業は、承継決定企業や時期尚早企業と比較すると足元の業績や将来性が暗い見通しであるという統計資料が掲載されています。

では、中小企業の事業承継を促す理由はとなりますが、『事業承継ガイドライン』を紐解きますと、中小企業が地域経済を支える存在として、またの受け皿として重要な役割を示していることが挙げられます。時としてベンチャー魂と表現されますように軽快なフットワークを示すことによって大企業と渡り合える中小企業が存在することも理由に挙げられています。更に、事業承継を行って若い経営者に代わった企業の業績が良いことが多いという結果も出ています(但し、バイアスとしてアンケートに答える企業は業績の良い企業に限定されるという可能性が想定されます)。

国としてはいたずらに中小企業を消滅させるぐらいなら事業承継をしましょうよ、なのですが、現経営者の健康上の理由でもない限りなかなか事業承継の準備をしようとはできないものです。私の知っている事例でも病気が発覚してから事業承継の話がいきなり出たものがあります。それ以前の話では経営者自身のヒューマンスキルが事業存続のための重大な要素となっており、後継者がそのスキルをつけるのは不可能であるとの判断から承継は無理ではないかということではないかということであり、またテクノロジーの理解が必要となるものの今更勉強することは無理であると親族後継者候補が言った事から、承継は無理ではないかとの判断に傾きました。いざ健康上の問題が発覚すると製品於ける表示上の問題があること、取引口座の問題があることといった幾つかの理由があって会社を存続させる必要があるのではないかということで事業承継をさせることが必要であるとする判断に傾いています。但し、事業承継を行うには、いつ、だれが、何をどのように引き継ぐのかを明確にすることが出発点となり、そのための現状認識を最初に行う必要があります。

企業規模が小さくなればそれだけ後継者は親族に絞られる可能性が大きくなります。親の背中を見て育つということもありますが、私の場合は父親の真似はできないと思っていますから同じようなことはできないと思っています。仮に事業承継を行う事態になっても違いやり方をするでしょう。このため、事業承継を行う場合はそのままのものを引き継ぐことなどできません。「異なる商売を行うことによって収益を得ることができる」見通しを持つことを目標にします。幸い、国はこのようなことを考える事業承継のパターンについて「後継者承継支援型『経営者交代タイプ』(Ⅰ型)」補助金を用意しています。ただし、補助金を目当てに事業所受けをするというものではないと思います。甘えといわれてもつらいのですが事業承継でいきなり事業再生は難易度高いです。事業承継では時としてこのような事態に陥ることがありますから、少なくとも事業再生案件にならない程度には安定化させる必要があると考えています。このほかに事業承継で難易度が高いと思われるのは任意整理、早期経営改善計画、経営改善計画が入る案件でしょう。