事業承継を考える(4) そうだ「経営革新」だ

そもそも経営革新計画が事業承継にどの様に絡むのかということですが、廃業を予定している中小企業のうち約3割は「実施する事業の将来性が期待できない」ことを理由としています。また、約3割は「親族を含めて後継者の確保のめどが立たない」ことを理由として挙げています。最初の3割については文字通り事業に魅力がないと読めます。このため、存続させるには業種転換を図る必要があるとの認識があるといえるのではないでしょうか。 規模が小さくなるとそれだけ後継者は親族に限定されるという指摘があります。この背景には、零細企業の場合は資金調達その他の信用供与において代表者が個人連帯保証を入れているため、相続財産は個人と法人の財産が混然一体となって構成することから、必然的に事業承継者は相続人である親族になることが必然的になるというものです。

ここで、推定後継者の視点から考えていきますと、先代が「実施する事業の将来性が期待できない」とするものについて、より従事年数の短いであろう推定後継者が自信をもって運営するとは想定しがたいと考えるのが自然ではないでしょうか。また、先代経営者を反面教師とし安定した収入を確保する道を選んでいる場合において安定収入を捨てろとまで度胸がないかもしれません。更に、先代経営者に代わって個人連帯保証に入ることが怖い可能性もあります。特に将来性のない企業においてみられることですが、先代社長の気力低下に伴い売上及び利益が長期低落傾向にあり繰越欠損金が増大していることも起こります。この場合においては借入金が増大する公算が大きい。従って後継者から見た企業が「承継するに値しない企業」に見えている可能性が大きいのです。

では、承継するに値しないと判断するからと言って解散することが良いのかなりますが、企業には利害関係者がいますのですぐにやすやすと解散することはできません。むしろ利害関係者や地域のことを考えると存続させることが重要なはずです。このため存続する道を探ることになります。ただ、「従来の事業を従来の方法で存続させること」は無理という結論を出しているからここで登場することが、「経営革新計画」となります。その目的は自社を今後安定的に存在させることです。今のままではどうしても承継できないことははっきりしているのです。その背景となる原因は事業立地そのもの、オペレーション上の問題、財務上の問題の3つがありますが、そのどれもが一筋縄で改善が図れる代物ではありません。でも法人格を残す方が利害関係者にとって都合がよいと判断されているので、何とかして残すことを目的として経営革新計画を作成する支援をします。

つい、我々は「特例事業承継税制」をきっかけとして事業承継を考えていただこうとするためか相続税対策が事業承継の中心議題と思わせてし合うこともありますが、事業承継を検討するにあたり最重要課題は自社株の承継ではなく、だれに対してどのような事業を承継させるかにあります。先代経営者と後継者が必ずしも同じ適性を持つとは限らないため、仮に違った適性を持つのであれば異なる方向性をもって事業展開を図る必要があることから、事業承継を行うに際し従来の事業に加えて新規性のある事業を行える体制を加えておく必要があるかもしれないということです。その際に「経営革新計画」のフレームワークを参考にできればと思うのです。