事業承継を考える(9) 渡すものは「会社の『知的資産』です」 

『事業承継が0からわかる本』に記載されていますが、事業承継によって先代社長が後継者に渡すものは、支配権の象徴としての「社長のイス」と支配力の源泉である「会社の株式」です。ただ、単純にはイスを渡したからと言って直ちに後継者が会社を機能させるかと言えるかもしれないし言えないかもしれません。

そこで、本コラムで散々お世話になっている中小企業基盤整備機構が用意する『事業承継支援マニュアル』を広げますと、「(先代」経営者と後継者が『知的資産の棚卸し』に共同で取り組む過程において、『経営の承継』がなされます」とあります。知的資産が承継されるのであれば会社は素早く承継できるように読み取ることができますが、一体知的資産とは何かを確認する必要がありそうです。類似の言葉として「知的財産」ならありますが、知的資産とは行政書士会でしか聞いたことがない。そこで、経済産業省「知的資産ポータル」ページを覗きますと、

 

「知的資産」とは、人材、技術、組織力、顧客とのネットワーク、ブランド等の目に見えない資産のことで、企業の競争力の源泉となるものです。これは、特許やノウハウなどの「知的財産」だけではなく、組織や人材、ネットワークなどの企業の強みとなる資産を総称する幅広い考え方であることに注意が必要です。さらに、このような企業に固有の知的資産を認識し、有効に組み合わせて活用していくことを通じて収益につなげる経営を「知的資産経営」と呼びます。

 

とあります。知的資産とは企業が持つ目には見えない強みの総称という理解で間違いないようです。知的資産の意識化(テキストでは「見える化」という表現である)を行うことにより、引き継いだ会社の強みを生かし、新たな知的資産の創造や獲得ないしは新分野の進出といった弱みを補うための取り組みを実施することにより、業績の向上が可能となる、と『事業承継支援マニュアル』は言います。知的資産の見える化を図るためには「事業価値を高める経営レポート」の枠踏みに添うのが良いとありますが、これはこの通りと思います。なぜなら、当該レポートが紹介する手法は極めてオーソドックスなアプローチを行っているからです。

事業価値を高めるためには知的資産を「見える化」する必要があり、知的資産を「見える化」するために「知的資産の棚卸」が必要となります。棚卸は先代経営者と後継者が共同で行うことが重要ですが、時には第三者に入ってもらうことが必要となるかもしれません。とは申しましても次の段階を経て行われることには間違いはありません。

1. 企業概要をまとめる

2-1 内部環境を分析する

2-2 内部環境を復讐する

3. 外部環境を分析する

4. 今後のビジョン(方針・戦略)を検討する

5. 価値創造のストーリーをまとめる

これらについて整合性をもって組立ていくこと、言い換えると適切な後継者を選び出し、確定申告を提出できるようにすることから、平野にも止まり、そうという心配を横にがしてから事業承継に向けての社長の仕事となります、と中小企業基盤整備機構が言いますので、1から5の手順を踏んで事業承継に取り組んでいくことになります。事業承継で大事なのは、「何時、誰に、何を残すかということを検討する」です。なお、具体的な基準は別途稿を改めて検討していきます。