年末調整の注意事項

11月になりますと、年末調整の仕方についての書物が並びます。この事実を受けまして年末調整のポイントを述べることにします。税務上の変更点は税務署や他の税理士にお尋ねいただくとして、私としては実際の担当者が年末調整を行うのに必要な注意事項を述べることにします。注意事項はたったの2つです。年末調整を行うのに厳守しなければならない事項は「年末に調整を完了すること」です。また、具体的手続きを行うには国税庁発行の「年末調整のしかた」冊子を読んでおくことです。たったこれだけしかありません。

年末に調整を完了するとは「年末最後の給与支払時に清算を完了すること」を言います。

それぞれは次の意味があります。

1.年末最後の給与支払時は、締日関係なく12月の最後に支払われるときであること

2.源泉徴収票を全支払者に対して発行すること

3.還付があれば返却し、不足があれば追徴収すること

を言います。

給与支払日が毎月5日であれば、12月5日に年末調整を終わらせておく必要があるということです。12月に働いた分の賃金を支払う時という意味ではありません。また、12月5日に給料を支払い12月15日に賞与を支払うという習慣があれば12月15日に清算をすればよいということになります。これが「締日関係なく12月の最後に支払う」という意味です。

源泉所得税を払うものは清算した結果として「源泉徴収票」の交付を受けます。この交付は12月の最後の給与支払時に給与明細表とともに交付する必要があります。源泉徴収票には年収総額、給与所得控除後の所得額、社会保険料控除額、保険控除額、扶養控除額と扶養控除対象者、源泉所得税額、給与支払者が記載されています。これによって、ほとんどの場合の所得税についての清算が完了しますが、確定申告が必要な場合は本票を添付することになりますし、申告書にも記載しますので年末調整を受けない場合でも交付する必要があります。

源泉徴収票には計算した結果、最終的に納付する税額が記載されすが、月々の徴収額の合計と納付するべき税額の合計を比較して還付ないしは追徴が決まりますが、ほとんどの場合還付されます。年末に得した気分になるのはこの年末調整で還付されるためです。

さらに年末調整を行うのに注意するべきことは、「年末調整の扶養者数は年度末現在の状態」によって行うということです。結婚や離婚、出産や死別といった人数が変わる事項が反映した後の事実だけを踏まえて計算しなさい、ということです。通常会社は結婚、離婚、出産、死別といったことは起きた時点で把握することができます。これは健康保険証の発行が必要なためですが、建前上、健康保険を取り扱う窓口と源泉徴収を行う窓口は異なるため、源泉徴収を行う人が年の途中で知らなかったとします。年末調整を行う時には、年始現在の家族構成を聞くことになりますので、このこの内容と去年の年末時に聞いた家族構成を比較することで知ることができます。この手続きが案外書かれていませんので注意しておきます。

後の内容は「年末調整の手引き」を読んでいただければ構いません。わからないことは専門家に尋ねてください。

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