情報を扱うには知性が必要です。

 

理化学研究所計算科学研究機構

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 情報記述の発達によって大きくなったinformationからintelligenceを取り出すには、単純にデータを処理、記憶、通信すればよいというわけではありません。単純なところでは、ネット検索ですら適切な検索用語を選ばないと意図した結果を得ることができません。また、informationが増大したからと言って、そのデータを意味付けし、関連付けるのは人間の知性の能力であって、情報通信技術の進歩ではありません。

 人間の知性がintelligenceの意味を与える以上は、情報通信技術の進歩ではなく、それを取り扱う人間の知的水準の向上を図る必要があります。人間の知的水準の向上のためには、情報通信技術だけではなくビジネスに関連する知識、社会常識、社会集団としての思考パターン、帰納法及び演繹法の能力などの向上を図る訓練が必要となりますが、これらの進歩は情報通信技術の進歩とは違ったところで行われます。情報通信技術の進歩と情報の解釈、分析能力との間にはつながりがないのです。

 実際、情報通信技術の進歩が直ちに人間の知性を不要とすることを意味するのではないのですが、「頭が良い=記憶力がいい」とした人間にとって情報通信技術の進展は人間の知性を否定する結果となりました。典型的なのは災害報道における「正しい情報に基づいて行動を」というコメントです。情報通信技術の進歩は、必要で正しいinformationとは何か、そこからどういう内容のintelligenceを引き出すのかという能力が求められています。そこで必要な能力は、本質を見極める能力であり、これはどちらかといえば情報通信技術より人間の持つ知性の能力に依存するものです。

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