消費税転嫁対策特別措置法セミナー

IMG_0294 2013年9月19日付日本経済新聞夕刊の一面に「消費税8% 来年4月」の見出しが出た前日に、私は大東商工会議所主催の『消費税転嫁対策セミナー』の講師を行いました。これは2013年6月24日に成立し、同年10月1日から平成29年3月31日まで施行される「消費税転嫁対策特別措置法」の内容を踏まえて消費税率上昇が企業経営にどのように影響を与えるかを検討するセミナーです。税理士が行うセミナーであるからして税法の話を中心にと考えましたが、転嫁対策の一環として「転嫁の必要性の広報」が特別措置法の内容に織り込まれていますので、そもそも消費税は価格転嫁を前提として設計された間接税であるという話を中心に組み立てることとし、価格転嫁をより確実にするために転嫁特別措置法で定めた施作を説明することにしました。

消費税転嫁対策特別措置法が規定している内容は次の通りです

1. 消費税の転嫁拒否等の行為を禁止する

2. 消費税に関連する形での安売り広告を禁止する

3. 「総額表示」義務が緩和される

4. 中小企業による転嫁カルテルや表示カルテルを認める

5. 国等が責任を持って行う事項がある

特に問題となるのは1.と2.であって、1.の場合は大企業による中小企業たたきを念頭に置いていますし、2.については大手スーパーが行う「消費税還元セール」を禁止するものです。これらについて、内閣府、財務省、経済産業省(公正取引委員会、消費者庁、中小企業庁)が示したガイドラインによりますと、買いたたきについては「正当な商行為によるものは禁止しない」となっていますし、「消費税相当額割引」を直接明示しなければ構わないとなっています。私がセミナーで申し上げたのは「消費税価格転嫁対策は経営力強化が本質であり、周りの環境がどのようになろうとも自社を存続させるために何をすべきかを考えること」です。消費税増税に向けて税収確保をするために国は定価販売の正規の価格転嫁を目指しているということはよくわかりますし、消費税価格転嫁対策に施作を実施することも当然の動きであるとは思いますが、消費税の課税の現場は相対する商人間の商業行為によって決まる価格がベースになっているため、早い話が市場メカニズムで決まるものであるため制度設計者が意図する課税が困難であるという厳然たる事実が存在するのです。

このことを念頭に置くならば、消費税転嫁対策とは税率上昇対策となり、消費税納税額をいかにして確保するか、その原資は粗利益に求める以外に方法はないということになります。最終的に消費税転嫁対策とは「粗利改善対策を講じることであり、収益面と費用面から異なるアプローチをする」という話で終わりました。この点で言えば受講者の方は意外に思われたかもしれませんがお話をさせていただきました。

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