中小企業庁が主催する中小会計要領フォーラムに参加して参りました。中小企業が中小会計要領を活用し、経営力を強化した事例が紹介されておりましたのでご報告します。
中小会計要領とは、中小企業庁が推進している中小企業向けの新しい会計ルールです。
- 経理人員が少なく、高度な会計処理に対応できる十分な能力や経理体制を持っていない。
- 会計情報の開示を求められる範囲が、取引先、金融機関、 同族株主、税務当局等に限定されている。
- 主に法人税で定める処理を意識した会計処理が行われている場合が多い。
といった中小企業の実態を考慮して作られている点が特徴で、例えば、売掛金を計上しましょう、資産は取得価額で計上しましょう、といった会計処理のルールが定められております。
中小企業庁によると、中小会計要領への取組は、「資金調達力の強化」や「収益の拡大」に寄与するそうです。本当でしょうか。
資金調達力の強化については、
「会計ルールに則って正しい会計処理を行う」
→「金融機関からの信頼が上がる」
→「資金調達力が強化される」
という図式が容易にイメージできます。しかし、直感的に考えると「会計ルールに則って正しい会計処理を行う事」が「収益の拡大」につながるように思えません。「家計簿をつければ無駄遣いが減る」といったレベルの話でしょうか。
フォーラムの後半は、3名の社長様がパネリストとして登壇し、中小企業会計要領の取組について発表しておられました。
その社長様方のお話をお聞きして、ようやく、中小会計要領の活用が収益の拡大につながる意味がわかりました。
説明しますと、
「会計ルールに則って正しい会計処理を行う」→
「正しい利益を知ることができる」→
「(応用すると)取引先別、部署別、営業マン別の利益状況を知ることができる」→
「(その情報を基に)不採算の取引先に値上げを交渉する、利益を上げていない部署や営業マンが頑張る、利益を上げている部署や営業マンに分配を増やすことでさらに頑張る」→
「収益が拡大する」
という図式の様です。
収益を拡大するためには「社員のやる気」が不可欠です。頑張っている社員を正当に評価し、それに報いる仕組みをつくることが収益の拡大につながる、という社長様方の話は納得できます。社員の頑張りを客観的に評価できる数値「利益貢献度」を算出するには、やはり会計が重要です。
実は会計は利益を計算する測定技術です。このため、適切な会計組織を設計することによって社員の頑張りを評価する体制を設計できます。このように言えば難しく聞こえますが決して難しいことはありません。難しいのではなく会社毎にオーダーメードになる性格があります。管理会計組織の設計については当社にご相談ください。